どこまでも、蒼く
でも慶汰は世間を知っている。
人の女に手を出す人間でもないし、それに彼女一筋の人間だ。
だから陽菜のことなんて知らないで当然なのだけど。
『俺、行ってくるから。今日帰り遅くなるかもしれねぇから』
慶汰は最後にネクタイを絞めて、リビングから姿を消した。
静かになった部屋に取り残された俺は、すばるからの連絡を待つこととなる。
そして数分後、すばるからの呼び出しのメールが届いた。
いつもと何も変わらない朝。
けど俺は気付いていなかった。
刻々と迫り来る、破滅へと─…。
…最近、卒業と受験が迫ってきているせいか、みんなそわそわとしている。
俺もその中の一人だけど。
前に担任に進路のことについて話したら、眉間に皺を寄せて、俺にこう言った。
『無理とは言わないが頑張って勉強しなさい』って。
遠回しに無理だと言われた気分だ。