どこまでも、蒼く


人の気持ちを理解出来る装置があるのなら、俺に試させて欲しい。
そしたらすばるや、紘人、馨、そして陽菜の気持ちを読み取ることが出来るのに…。



『あ!紘人だ!』



すると突然、すばるはある方向を指差して、こう言った。
それにつられて首を傾ける俺。


そこにはすばるが言った通り、紘人がいた。
両隣には頬をピンク色に染める女子がいる。


俺はこの時思った。
前紘人に慶汰の存在を陽菜に言うなと言われた。
その時は慶汰に陽菜を取られたくなくて納得したけれど、今は違う。
慶汰はその気もなさそうだし、陽菜も慶汰の存在を忘れかけている。


今、紘人に真実を打ち明けたいと言ったら、なんと言うだろうか?


この前と同じ返事が返ってくるのだろうか?



俺は紘人の方へと足を進め、無意識のうちに名前を呼んでいた。



『紘人!』



『嵐じゃん!おはー』



『ちょっと話があるんだけど、来てくれないか?』



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