どこまでも、蒼く
安心しているわけじゃないけど、自信があるわけじゃないけど…
そういう気持ちがでかくないとダメになりそうな気がする。
でも心に引っかかる。
《憧れが好きになるかもしれない》
空に薄暗い雲が現れると共に、俺の心も覆っていく。
『お前さ、人の幸せを願う前に、自分の幸せを願ったら?』
『は?』
『普通、人間って自分の幸せを一番に願うんだよ。けどすげぇ心が広い人間なら自分の幸せより相手の幸せを願えるんだ。嵐は自分の幸せを犠牲にして陽菜の幸せを願えるか?』
言葉が出なかった。
言葉を失ったわけではないけど、苦しくなった…
なぜならば、俺にはそんな力がない。
人の幸せを願える力もないし、勇気もないからだ。
『俺…』
『陽菜が本当に好きなら、慶汰に奪われたくなかったら、慶汰が兄貴だって陽菜に言うな』