どこまでも、蒼く
そんな表情をさせてしまっているのは、この俺だ。
俺は自分の儚さに惨めになったのか、唇をぎゅっと噛み締めた。
教室には俺と陽菜しかいない。
普段、うるさい教室も、今は不気味なくらい静かだ。
『陽菜、帰ろっか…』
そんな静かな教室に声を加える俺。
俺の声を聞いた陽菜は、少しだけ驚いたが、すぐにいつもと同じ笑顔を見せてくれた。
『うん。帰ろ!嵐、今日元気なかったね?』
『そう?眠いからじゃない?』
下手くそな嘘をついて、陽菜を納得させようとする。
俺の嘘に案の定騙された陽菜は、『ちゃんと寝なよ』なんて小言を言って、俺の手に自分の小さな手を絡める。
伝わる、温もり。
この季節はマフラーだけじゃ足りないと思うけど、俺はマフラーだけでいいや。
人肌の温もりがあるから。
肩を並べて帰っていく。
陽菜と手を繋いだ瞬間、紘人との会話の内容をすっかり忘れてしまっていた。