どこまでも、蒼く
なんて単純な人間なんだろうと笑ってもいいよ。
いつもと同じように帰る。
靴を履き替えて、グラウンドを通って、太陽に見せびらかすように帰っていく。
『あ!陽菜行きたいとこあるんだよね!ちょっと行っていい?』
突然、陽菜はこう言ってきた。
いつも暇な俺が《嫌だ》なんて言うはずがない。
『行きたいとこ?どこ?』
『本屋さん。写真集欲しくって!』
やっぱりな。
なんとなく分かっていたんだ。
陽菜が書店に行く目的は、あれしかないから。
それは坂井雅さんの写真集。
『ふーん。そういえば、海で撮った写真ってどうなったの?』
気になっていたことがひとつ。
それは海で撮った写真のことだ。
あれから月日は経ったのだけど、陽菜は一向に現像した写真を持ってこない。
『待って?あと少しなの』
陽菜は意味深な言葉を並べる。
あと少しって…
撮った写真でなにをしているの?