どこまでも、蒼く
違う方向へ行こうとする陽菜を呼び止めて、俺は教えてあげる。
すると陽菜は俺の手を離して、その写真集のコーナーが設けられている場所へ走って行った。
まるでご主人を慕う、犬のように。
『あ!!』
紘人の言葉がちらつく。
《陽菜がどれだけ慶汰のことを憧れだと思っているのか》
俺は知らなかった。
陽菜がどれくらい慶汰のことを憧れているか。
今俺の目に映る光景はなに?
陽菜は夢中になるくらい大好きな写真家の写真集よりも、探していた限定品よりも─…
その隣にあったファッション雑誌を手に取っている陽菜の姿─…。
息が出来なくなる。
瞳を輝かせて、俺に満面の笑顔を見せる陽菜。
見てしまった─…。
写真集の宣伝同様にポップ文字で書かれた文字を。
《お待たせしました!
カリスマモデル慶汰
独占インタビュー誌。
今日発売!》
─…そんな笑顔で、
見ないでよ─…