どこまでも、蒼く
『陽菜の答え、聞いてくれ…』
静かに言う紘人。
俺は走り出していた。
屋上に向かって…。
頭の中に陽菜との思い出が広がっている。
お前は雑草を大事にする人間で…
空が大好きで…
俺を照れさせるのが得意で─…
写真が大好きで─…
俺の愛しい人…。
屋上に行くと、光で溢れていた。
そこにいるのは、空を眺めている愛しい人。
俺はその人に向かって言葉を投げる。
『陽菜…』
今日は空が綺麗すぎるから…、お前の幸せを綺麗な心のまま願えそうな気がするんだ…。
『嵐…』
もうすでに涙を流している陽菜。
俺はそんな陽菜を見て、優しく微笑んだ。
お前の口から聞きたくない。
だから行動に表してよ。
自分は本当にバカだと思う。
でも、一番素直なんじゃないかなって思うんだ。
『…今日の夕方、慶汰が名古屋に引っ越す。伝えられるのは今日しかない。…お前ならどうする?』