どこまでも、蒼く


慶汰からの話を聞いた後、俺は着替えて画材を持ってある場所へと向かっていた。


走りながら、ある人に電話をかける。



『今から海にきて─…
描けそうなんだ…』




海が見える。
太陽の光を反射させて、自分の居場所を主張しているようだった。


だけど俺は足を止めた。そこは、街の小さな花屋さん。



『お兄さん、お花はいかが?』



息を整えて、俺は言う。



『胡蝶蘭ください…』




クリスマスのとき、店員が胡蝶蘭を勧めた理由が分かったよ。


なぜかって?
それはすぐに分かること。




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