どこまでも、蒼く



海へと辿り着く。
海には人影がない。
足跡はあるのだけど、
それは過去のもの。
現在のものではない。

俺は画材を広げて、
鉛筆でキャンバスに絵を描いていく。



ずっと描けなかった。
ずっと怖かった。


けど今日は描こうと思う。


約束だもんな。


いつか俺が描いた絵をあげるって約束したもんな─…



海を描いていく。
白いキャンバスに─…。



『嵐─…?』



すると突然横から声が聞こえてきた。
その声は誰かに似ているけど、影までは似ていない。


俺はゆっくりと横を向く。



そこには、二年前ここで出逢ったお前がいた。



『今日、描けそうなんだ』



『前に進めるのね?』



『うん。だって今日は最高な日だから…』



慶汰との電話の内容を思い出す。



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