どこまでも、蒼く
《あ!嵐ー?あたしさっきも電話したんだけど…》
『あー…寝てた』
下手な嘘。
すぐバレるような嘘なのに、千夏は簡単に騙されてくれる。
だから甘えてしまうのかな?
嘘をつくことに。
《寝てたんだ!じゃあしょうがないね!ちょっと聞いて!先生に聞いたんだけど!》
『んー?なに?』
電話の向こう側では楽しそうに話す千夏がいる。声を聞いていれば分かることだ。
俺は起き上がり、カーテンを開けて空を見てみる。
寂しく浮かぶ月が、俺をじっと見つめる。
その視線を耐えられなかった俺は、すぐに視線を逸らした。
《明日転校生が来るんだって!》
何かと思って耳を澄まして聞いてみたら、なんだよ、それ。
俺には関係のないことだ。
『ふーん。そうなんだ』
《楽しみだよね!可愛い子だといいな!あ…でも嵐が好きになっちゃうから嫌だな…》