どこまでも、蒼く


千夏は可愛いね。
気持ちはないけど、思ったことは沢山あるよ。


『好きにならないよ。心配すんなって』


好きにならない自信はすごいある。
好きになってどうする?甘い恋なんて出来るわけない。

俺はそう思っていた。
でも知ってますか?

自信はいつでも砕けるということ。

この時の自信は、徐々に砕け落ちていく。


時に速く、時に遅く。


千夏と少しだけ座談をし、電話が終わった。
電話が終わったあと、部屋からリビングの方を覗くと、まだ電気がついていた。
きっと今も寄り添って慶汰とありさは愛を育てているのだろう。


俺は部屋着に着替えて、疲れた体を癒やすため、風呂場に向かった。

湯船に浸かるのが嫌いな俺はいつもシャワーのみ。
だって面倒だし。


毛染めを繰り返す髪の毛はもう潤いすらなくなっている。
毛先は痛み、枝分かれをしている。

これを見ても俺は可哀想のひとつも思わないのだ。


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