どこまでも、蒼く
~3.赤と青のミニカー~
これが、蒼井陽菜との出逢いでした。
もう二度と逢いたくないと思っていたのに、神様は悪戯好きで、俺の意見を無視するんだ。
聞いていたの?と疑いたくなる。
聞いていても無視をするんだね、神様は。
中学生だと思っていた彼女が、まさか同じ年だなんて思いもよらなかった。
黒の光沢のある髪の毛は、一度も染めたことがないだろう。
はにかむ笑顔がまだ幼い。
でも、こういう幼さが新鮮だと感じるときもある。
俺には関係ないことだけど、彼女を見てそう思った。
すばると馨を見ると、すばるは口をぽかんと開けて、彼女を見ている。
馨は小説を読むのをやめて、彼女を凝視していた。
二人共、驚いているようだ。
『まじ…かよ。こんなのってあり?』
苦笑いを浮かべて言葉を並べるすばるの体から徐々に力が抜けていくのが分かる。
それもそうだ。
もう二度と逢いたくないと思っていたのだから。