どこまでも、蒼く


でも人間は自分の知らないことを違う人間から知ることが出来る。

俺もその一人だった。

お前を、一生離さないと決めたのに─…。


未来にお前は最初からいなかったのかな─…




拍手の音で包まれる教室。
みんな彼女を祝福していた。
俺たち三人を除いて。


『えっと、蒼井の席は窓側の一番後ろだ。佐伯の隣』


担任が蒼井陽菜に座席の説明をしている。
俺の方を指差して。
ということは…俺の隣のこの空席は、あいつの席になるということか?

折角隣がいなくて安危をしていたのに…。
やっぱり俺の意見は無視なんですね。


『分かりました!』


陽菜は元気に挨拶をし、俺の方へと近付いてくる。
満面な笑みを浮かべ、セーラー服に身を包んだ、まだ幼い容姿をして…。

俺たちに気がつくだろうか?

昨日、俺たちの前で涙を流して去っていったことをお前は覚えてる?



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