どこまでも、蒼く
どういう反応をするか楽しみだったのに、陽菜は何もなかったように俺たちの横を通り抜け、空席の席に座った。
拍子抜けをしたすばるは、『え?』と小さく言葉を漏らし、後ろを振り返る。
陽菜は相変わらず笑顔のまま。
なに、こいつ。
やっぱり変な女だ。
そこで超がつくほどお人好しな生活のすばるが、陽菜に話しかけてみる。
『…あの…さ?俺たちのこと覚えていない?』
自分の顔を指をさして、彼女を不安にさせないように笑顔を振りまくすばる。
陽菜は目を細めて、考え事をしている表情を浮かべた。
『…陽菜の頭、すれ違った人の顔まで覚えてられません』
『すれ違ったとかじゃなくて!!昨日校門の前にいたじゃん!』
予期せぬ答えが返ってきた。
そりゃそうだろう。
すれ違った人の顔をいちいち覚えている人なんているわけがない。
確かに間違っていないが、俺たちはお前に変なことを聞かれたんだぞ?