どこまでも、蒼く


背中に残る千夏の体温。だけどそんな体温は窓から入ってきた秋風によって消されていくんだ─…


先生が現代文を生徒読み聞かせる。
すばるは体を伏せて、夢の中へ世界を変えた。
馨は小説に没頭中。

隣にいる陽菜のことが気になり、陽菜の方を見ると、机の上には教科書なんて出ていなくて、出ているものは、青空の広がった写真集だった。


『…なに、それ?』


気になった俺は、陽菜に話しかけて、その写真集の正体を突き止めた。


陽菜は俺の方に顔を傾けて、笑った顔をみせる。

『これ?これね、陽菜が大切にしてる写真集なの』


『へぇ…』


正体が分かったならもう興味はない。
俺は陽菜から視線を変えて、太陽の反射で煌めくグラウンドを見つめる。

するとあるものが視界の中に入った。


『はい!見たいなら見たいって言ってくれればいいのに!』


それは陽菜が見ていた写真集でした。



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