どこまでも、蒼く
陽菜はどうしてミニカーを選んだのか気になって仕方がなかった。
俺は陽菜の掌からミニカーを取り、そいつを机の上へと置いた。
まだこいつは走り出す気配もない。
『男の子ってミニカー好きでしょ?』
俺に同意してもらいたいのか、首を傾げてまん丸な瞳で俺を見つめる陽菜。
そんな陽菜にうっかり吸い込まれそうになってしまう。
俺はぎゅっとブレーキを掛けた。
『…好きじゃねぇけど、嫌いでもない』
『よかった!そうそう、他の色もあるよ!』
こう言って陽菜は俺の席から離れ、自分の席に戻り、鞄の中からあるものを取り出した。
それは陽菜の小さな掌に収まるほどのモノで。
またこいつを天然だと思ってしまうようなモノで。
『青色もあるよ!』
俺の机の上に乗った2つのミニカー。
こいつらはどうやら走りたくないようだ。