どこまでも、蒼く
『嵐、これどうしたんだよ?』
『…陽菜がなんかくれた…』
こう言って陽菜を見上げると、陽菜は茹で鮹のように真っ赤な顔になっていた。
まるでこの赤色のミニカーのよう。
そんな陽菜を不思議に思ったが、すばるが言葉を発したのでそちらに耳を傾ける。
『いらねぇならもらうよ?嵐遊ばねぇだろ?』
その言葉に少しだけ腹が立ってしまう。
すばるには悪気はないのだが、なぜか分からない。
どうしてかな…。
自分でも分からないけど、いつの間にかこんな言葉をすばるに向かって吐いて、教室を飛び出していたんだ。
『お前にはあげねぇ』
そう言って、2つのミニカーを手に持ち、教室を飛び出した。
背後からは残念そうなすばるの声が聞こえてくる。
どうしてだろう…。
体が熱いよ─…。
ぎゅっと握りしめられ、寄り添う2つのミニカーは、恋人同士を連想させた…。