どこまでも、蒼く


『嵐、これどうしたんだよ?』



『…陽菜がなんかくれた…』


こう言って陽菜を見上げると、陽菜は茹で鮹のように真っ赤な顔になっていた。
まるでこの赤色のミニカーのよう。
そんな陽菜を不思議に思ったが、すばるが言葉を発したのでそちらに耳を傾ける。



『いらねぇならもらうよ?嵐遊ばねぇだろ?』


その言葉に少しだけ腹が立ってしまう。
すばるには悪気はないのだが、なぜか分からない。
どうしてかな…。

自分でも分からないけど、いつの間にかこんな言葉をすばるに向かって吐いて、教室を飛び出していたんだ。



『お前にはあげねぇ』


そう言って、2つのミニカーを手に持ち、教室を飛び出した。
背後からは残念そうなすばるの声が聞こえてくる。


どうしてだろう…。


体が熱いよ─…。


ぎゅっと握りしめられ、寄り添う2つのミニカーは、恋人同士を連想させた…。



< 89 / 329 >

この作品をシェア

pagetop