どこまでも、蒼く
だから走り出さなかったのかもしれない。
2つで1つと示したかったのかな─…。
俺は無我夢中で歩いていく。
向かっている場所は自分でも分からない。
ただ、この高鳴る心臓を抑えたかったんだ。
『…苦しい…』
胸に手を当てると、自分でも初めて感じる鼓動が確かにあった。
その速さは血液が流れるスピードより速い気がする。
俺は壁に体を預け、苦しさを紛らわせていた。
すると、どこからか聞こえてくる足音。
その音は誰かを探しているようだ。
お願いです…。
どうか…、俺ではありませんように。
『嵐!』
俺の願いは叶わなかったようだね…。
その声は紛れもなく…、お前の声なんだから。
俺は平然を装って、声のする方へと振り返る。
ミニカーを握りしめて…気持ちを押し殺すように。
『…なに?』
『気に入らなかったですか…?』