どこまでも、蒼く
俺より小さな身長で、
抱きしめたらどうなるんだろうって思う。
だけど抱きしめることすら出来ない俺は、自分の無力さに情けなく感じる。
太陽の日差しが窓を通り抜け、陽菜を照らす。
俺の頭には真っ赤な顔の陽菜の顔が浮かんでいた。
一時間目の知らせの鐘の音が聞こえてくる。
『…授業始まったけど…?』
『…あのね…さっきね…』
また陽菜の顔が赤く染まっていく。
『…なに?』
『さっき…陽菜のこと名前で呼んでくれたよね?すごく…嬉しかったよ』
俺の瞳を真っ直ぐ見つめて、恥ずかしそうに小さく囁く陽菜を見たら、当然のように心臓はざわめき出す。
『…そっか…』
『あの、良かったら…
今から屋上に行きませんか?』
人を好きになることは、悪いことですか?
俺は誰も本気で好きにならないと思っていた。
でも今芽生えそうなんだ。
枯れないで。
ずっと咲いていて。
陽菜…。
お前からもらった2つのミニカーは、今日も寄り添って俺の部屋に飾られているよ。