どこまでも、蒼く


聞きたかったけれど、陽菜の表情を見ていたら答えが分かってしまった。

…ない、ようだね。

だからその疑問を無理矢理飲み込んだ。


『…どーも』


『へへ。恥ずかしいね』


訂正。
そういう感情、あったんだね。
限りなく薄いけれど。


熱く焦げるアスファルト。
俺のハートまでも焦がしていく。




『…陽菜ね、一人ぼっちなんだ…』



回復しつつあった思考回路が、ぷつんという音と共に、また途切れてしまった。


一人ぼっち?
…なんで??


『…は?一人?』


『陽菜の両親、いないもん。弟しかいないの』



無理矢理笑顔を作る陽菜を見ていたら、胸がぎゅっと締め付けられた。
本当は泣きたいのだろう。
でも陽菜は強いから、泣いたりしないんだよね。

『…俺も親いねぇよ。一緒だな』



『お揃いだね』



なんで陽菜は《お揃い》という言葉を並べたのかは分からなかったけど、でも一番似合っている言葉だった。



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