どこまでも、蒼く
そのあと、陽菜は両親のことを話してくれた。
両親は陽菜と弟を祖父に預けて、どこかへ行ってしまったらしい。
理由は知らないみたいだ。
それは陽菜がまだ幼い頃のこと。
そして高三の夏、祖父は亡くなり、陽菜は弟を叔母に預け、一人だけこの街にやってきたらしい。
次に話してくれたのは、自分の好きなこと。
陽菜は高一のとき、坂井雅という写真家に憧れ、写真を始めたらしい。
そして最近念願のカメラを手に入れたよう。
『でかい夢だな』
全て話し終えた陽菜に、俺は静かにこう言った。
陽菜は誇らしげに笑う。
『陽菜は絶対写真家になるもんね!』
その志し、覚えておいてあげるよ。
お前なら出来そうだな。
だって心が広いから。
なぁ、陽菜。
この時話してくれた話は、どこまでが本当?
俺は信じていた。
お前を信じたかったから、信じたんだよ。