どこまでも、蒼く


これは夢だ、と誰かに言って欲しい。

もう朝だよ、と揺さぶって起こして欲しい。


ガラスが割れ、その破片が俺の心に次々と刺さっていく感じ。
痛い、とかじゃなくて、何で、と言いたくなる。

お前も結局周りにいる女と一緒じゃねぇかよ。


苛立ちだす体。
眉間に皺が寄っていく。


『結局、お前も俺なんか見てねぇんだな』


俺は寄り添っていたミニカーを取り、その場を立った。
黒いオーラを出す俺をみた陽菜が、驚いた表情を見せている。


『嵐?』


『…俺は慶汰じゃねぇ。嵐だ』



俺は佐伯嵐だ。
慶汰なんかじゃ、慶汰なんかじゃない。


この時思ったんだ。
陽菜を力ずくで俺のものにしようって。
俺自身を見てもらおうって。


慶汰を超えてやる。



陽菜を屋上に一人にし、俺は屋上から飛び出していた。


まだガラスが刺さっている。


誰かひとつ、ひとつ…
抜いてはくれませんか?


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