王子と姫が出会いました。
名前に負けるな
【王子】



何度恨んだかわからねぇこの名前…。



名前を恨むってことは死んだ両親を恨むこと。



俺はさ、ごく普通に生活したかったよ。



こんな名前と顔じゃなけりゃ普通に生活出来たと思いますわ。



『王子』



俺がこの世に生を受けた時に名付けられた名。



超カワイかったらしいからそれはまだいい。



でもよく考えろ、バカ親共。



名字が『城野』って書くんだぞ?



きのって読むけどさ、病院の受け付け、新学期の新任教師…。



みんな口を揃えてこう呼ぶ。



『しろのおうじ』



ふざけんじゃねぇっての。



俺はどこにも城なんか持ってねぇよ!!



親がちょっと金持ちだっただけで、俺は一国の主じゃないわけ。



だからグレてやったんだよ。



俺はどこの王子様でもねぇからな!!



「王子、入学式じゃない?」

「んぁ?忘れてた…」

「行かなきゃマズイんじゃないの?」

「ん~…その前に目覚めの一発…」

「もぅ~、王子のエッチ~」



こんな王子様、きっとどこにもいるわけねぇだろ?



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