王子と姫が出会いました。
そもそも、俺が家を出たのは叔父さんが辛くならないようにだった。



俺がいるから女を連れ込めねぇとか、結婚に踏み切れないとか。



それに、学校の行事のこととか、面談とかも言うのが気が引けた。



俺は叔父さんに迷惑をかけたくなくて、重荷にならないようにあの家を出た。



きっと叔父さんも俺の気持ちを察してマンションを借りてくれたんだと思う。



でも家を出た途端、養子に入れと言うようになった。



俺も叔父さんも素直じゃねぇから話は平行線だけど。



「お待たせいたしました」

「うわっ、肉だっ!!」

「こちらの塩でお召し上がりください」



うちでは滅多に登場しない肉っ!!



しかもなんか高そうだし!!



「うめぇ~…。マジうめぇ~!!」

「バイトはどうだ?」

「上々~。時給高いし、時間的に遅くねぇから楽」

「そうか」

「叔父さんは?」

「上々」

「そう」



俺は叔父さんが元気で生きててくれりゃあいい。



それだけで俺の支えだから。



< 104 / 701 >

この作品をシェア

pagetop