王子と姫が出会いました。
そんな噂は聞いたことがあるけど、噂はあくまでも噂だし…。



「王子君ってヤンキーですか?」

「違うじゃん。俺も昔からよく絡まれるから王子の気持ちはわかるけど」

「じゃあ不良?」

「俺は多少捻くれてるだけ。王子は暴君ってとこ?」

「優しいですけど…」

「姫にだけだし。あんな王子は5年の付き合いで初めてだ」



『暴れたら止められないから気をつけて』



そう付け足した瑞紀君。



王子君が暴れるなんて想像つかないんだけどなぁ~…。



暴君だなんてとんでもない。



あたしには優しい王子様です…。



そんな王子君を見かけたのは放課後だった。



バイトに行く日はバイバイも言わないで帰るのが普通で。



だってカギは預かってるし…。



だから今、あたしが王子君の後ろを歩いてるなんて気づいてないんだろう。



両手に花デスネ。



右側は美人と名高い古谷さんデスネ。



「お前らうぜぇ…」

「王子の甘くないとこがたまんない~!!」



左側はカワイイ人デスネ。



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