王子と姫が出会いました。
呼び捨てにされてタヨ。



あたし、苦しいヨ~!!



「今日バイト先に行く~」

「もし姫が来たら帰れよ…」

「バレちゃダメな感じ?」



なんだい、その不健全な会話!!



さすがのあたしも…ムカつきます。



「あたしは別に構いません。王子君、今日は行きませんからごゆっくり」

「ちょっ、姫っ…」

「バカです…。王子君は秘密を作る気です!!」

「そんな意味じゃねぇよ!!ただお前の…」

「先に帰ってます…。ご飯はありませんから!!」



マンションまで走った。



王子君のバカ…。



あたしが彼女なのが恥ずかしいなら別れるもん…。



人に見せたくないとか、やましいことがあるなら…一緒にいたくない…。



ポタポタと涙が落ちた。



すっかり居着いてしまった王子君の部屋で、初めて寂しさを感じた。



ソファーに座ってティッシュの箱を傍らに置き…。



『好き』がこんなにも苦しいことを初めて知った気がする…。



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