王子と姫が出会いました。
た、タクシー代置いて帰ってっちゃったよ…。



「どうしよ…」

「もらっとけばいい。それよりコレ、引っ張って…」



テーブルにお金を置いて、王子君のYシャツを脱がせた。



血だらけ…。



「右手が使えなかったら大変ですね」

「うん…」

「一通りのことはしてから帰りますね」



バスルームに入り、シャツを手洗いで洗った。



血って落ちない…。



「ごめん…」

「ギャッ!!急に話し掛けないでください!!ビックリした…」

「姫が大変な時に…なにしてんだろうな…」

「それとこれとは話しは別です。王子君は悪くないと思ってます」



泡のついた手をギュッと握られた…。



王子君も弱いんだ…。



悲しみに揺れる目に見つめられたら動けなくなる…。



「ワガママ言っていい?」

「どんな…ワガママですか?」

「帰んないで…一緒にいて、姫…」



ひとりはヤダよね…。



それ以前にそんな顔されたら帰れないよ…。



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