王子と姫が出会いました。
バイトが終わってから瑞紀とマンションに帰った。



エレベーターの中、沈黙を破った瑞紀…。



「彩奈が結婚する…」

「は!?」

「同じ職場のドクターだって。『祝ってくれるでしょ?』とかさ、ふざけんなって…」



部屋のある階に着いて、なにも言えなくなった俺より先に瑞紀がエレベーターを降りた。



瑞紀が傷つけられた…。



「ピンポーン。姫~、開けて~」

「俺ん家だバカ」

「ははっ!!はははっ…」



瑞紀の痛々しい表情がまた俺に言葉をなくさせた。



失恋ってそんなにいてぇのか…。



「あっ、瑞紀君!!おかえりなさい?」

「ただいま、姫」

「なんか違いますね…。おかえりなさい、王子君!!」



そうだ。



瑞紀に『おかえり』はありえねぇ。



バカ姫…。



今の、ちょっと妬けた…。



「風呂入ったのか」

「はい、シャワーお借りしました」

「髪濡れてんじゃん…。乾かさねぇと風邪ひくんじゃね?」



そしたら俺、マジ悲しいから…。



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