王子と姫が出会いました。
ソファーに座らせた姫の髪をタオルで拭いてやりながら瑞紀を盗み見る。



ソファーのコーナー部分に座り、リモコンでチャンネルを変えまくり…。



「なぁ、王子。俺さ、もう生きてる意味がわかんねぇ」

「彩奈さんだけが全てじゃねぇだろ…」

「全てだったんじゃね?貯めたバイト代も、あの人が好きだって言った香水も…。全部無駄」



自虐的というか…。



俺まで悲しくなる…。



今姫を失えば、俺はきっと抜け殻だ…。



そう思うと、瑞紀の気持ちが少しわかったような気がする…。



「最後になんて言ったと思う?」

「なんて…?」

「『このまま続ける?今の関係』だとさ。今から結婚するヤツが言うセリフかっての」

「まさか続けたり…」

「するわけねぇじゃん。目の前で番号消して、彩奈に貰った指輪と時計、ゴミ箱にぶち込んできた…」



瑞紀の目に涙が溜まってる…。



最後にお前が泣いた姿…何年前に見たっけ…。



「姫、ベッド行ってて」

「は、はい…」



困った親友だな…。



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