王子と姫が出会いました。
カワイイ顔した瑞紀に涙はよく似合う。



「王子、タオル…」

「はいはい」



フェイスタオルを渡すと顔に押し付けてる…。



本気で好きだったんだな、彩奈さんのこと…。



「もう彩奈には一生会いたくねぇ!!」

「そうだな」

「どうやったら忘れられんだろ…」

「…………」

「俺、もうヤダ…」



姫がいてもいなくても、瑞紀は泣いたんだと思う。



そんな瑞紀にかけてやる言葉なんか見つからないわけで。



失恋を知らない俺が言える言葉なんかないことを知った。



「泣くなよ」

「相当キツい…。俺、明日も学校行かねぇからな」

「そこは行こうよ」

「ヤダ。気分的に落ちまくるって決めたから。そしたら上がるしかないはずだし…」

「おぉ、それはプラス思考」

「彩奈なんかクソだ…。超スピード離婚しちまえバーカ!!俺のこと好きだって毎回言ったくせに!!女なんか信じねぇ!!」



女々しいな、瑞紀…。



なんか…女々しい…。



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