王子と姫が出会いました。
湿った髪のままベッドルームへ行くと、姫がベッドに座ってた。



「ごめんな、後回しにして」

「全然いいです!!瑞紀君、大変そうです…」

「そうだな~…」



ギシッとベッドに座ったら、姫の手が頭に延びた。



首にかけてるタオルを取り、俺の髪を優しく拭く…。



今の流れ、自然体っぽくて嬉しい…。



「で、姫は寂しくなったのか?」

「寂しく…」

「それとも甘やかされたくて来た感じ?」

「わかりません…」

「じゃあ甘えたらいい。わかんねぇなら、なにも考えなくていい」



そう言うと、姫の腕が後ろから腹に回ってきた。



俺の背中に顔をくっつけて、動く気配がない…。



こんなに小さい体で、たくさん抱えてる苦しみや寂しさ…。



俺が姫なら、潰れる自信はあるね。



だから俺といるときくらいは…楽にしたらいい…。



「姫、この前はありがとな」

「この前…?」

「謹慎中、そばにいてくれて。だから姫が辛い時は俺がそばにいるから。だから…姫をひとりにはしない」



俺は一緒にいてやる。



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