王子と姫が出会いました。
家具や生活必需品はあたしが買うことになった。



全く無知の世間知らずなのに…。



お金だけ渡されて、買ってこいだって。



そんなもんだよね、うちは…。



あたしは子供で、割り切れないから。



だからそれもまた、切ないよ…。



決めたアパートは２階建ての角部屋。



目の前がキレイな公園で、コンビニも近いし24時間スーパーも近い。



７月末から入居してもいいみたいだから、夏休みに入ったらここに住もう。



ひとりで寂しく生活するんだもん…。



パパの車に乗り、家に帰る途中も話しなんかしなかった。



気まずい空気が流れてるだけで…。



今頃王子君達は焼き肉食べてるのかな…。



家なんかどこだっていいんだから、パパに任せて行けばよかった…。



あたしの居場所は天野家にはないし…。



「ねぇパパ」

「なんだ？」

「あたしがいなきゃ結婚もしなくて済んだのにね。ママも仕事がいちばん大事だもんね」

「悲しいこと言うなよ、姫…」



こんな名前、大嫌い…。



< 175 / 701 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop