王子と姫が出会いました。
いつもあたしが払おうとしてるのに、絶対に出させてくれない。



「俺に会いに来てくれたからいいの」



だって。



いつもそうなんです。



『俺がいない時は好きにしたらいい』



って、前に言われて諦めました。



王子君は、男の中の男なのかもしれませんね~。



「会えなくて寂しかった?」



手を差し出しながらそう言う王子君。



手を握ってから小さく頷いた。



恥ずかしいなぁ…。



「宿題終わったのか?」

「わからないとこある」

「教えてやる?」

「お泊り…してください…」

「明日もバイト、早番だからムリだな」



なんだか無性に寂しくなった。



蘭ちゃんもお家の行事で忙しくて、王子君もバイトで。



家にひとりはすごく寂しいんです…。



他に友達もいないし…。



「姫がおいで」

「えっ?いいの…?」

「ダメな理由なくね?」



瑞紀君がいるのに行っていいんですか?



行って…いいんだ…。



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