王子と姫が出会いました。
まだ朝の7時だから王子君が眠いのもムリはない。



今日はスーツじゃないママはこんなに早くになにをしに来たんだろう。



「拓也に聞いたよ、城野君のこと」

「パパに?」

「姫は面食いだったって言ってた。それに礼儀正しい子で安心したって」

「そう…」

「ママのタイプ」



本当になにしに来たんだろう…。



顔見に来ただけ?



「そこのスーパーで材料買ってきたんだけど、ご飯作っていい?」

「ママが…?」

「変?一応姫が生まれてからは欠かさずに朝晩作ってたんですけど?」

「そう…だね…」



ママ、なんか変…。



前よりも穏やかで、なぜか接しやすい…。



久しぶりにママが作るご飯のニオイ。



一人暮らしをしてから炊き込みご飯なんて全く食べてなかった。



みそ汁もママが作るのは味が薄いの。



「豪華だね」

「久しぶりだから頑張るよ。姫が好きだったオムレツも作る」



なんだか泣きそうになっちゃう…。



家族だった時より、今の方が近い…。



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