王子と姫が出会いました。
ふたりで痛そうな場所に湿布をペタペタ貼ってあげた。



蘭ちゃんと王子君って絵になるなぁ…。



お似合いってこのふたりみたいなことを言うんだ…。



あぅっ…。



胸がチクチクする…。



「さ、寒いんですけど…」

「我慢しなさいよ。じゃ、あたし帰るから」



えっ!?



あたしは!?



「蘭子」

「なに?」

「携帯教えて?」

「どんな意味?姫の前で」

「姫の前だからだろ。お前と友達になりてぇの」



友達…。



それ以上の気持ちはないんだよね?



だからわざわざあたしの前で…。



「姫はいいの?」

「えっ!?あっ…あたしは…全然…」

「じゃあ赤外線」



あたしの番号じゃなくて蘭ちゃんの番号が王子君の携帯に入った…。



あたしも携帯買ってもらったんだよ。



なんて言い出せなくて…。



王子君の黒い携帯を見つめてた。



「じゃあまた明日ね、姫」

「えっ!?あたしも帰ります!!」

「もう少しいたら?王子が寂しそうな顔してるよ~?」



す、捨て犬顔っ!!



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