王子と姫が出会いました。
取り合えず列に並んだ。



旅行って言っても、そんなに遠くない場所。



だけど姫が嬉しそうだから…。



「今日泊まるホテルって高いんですよね…?」

「普通に泊まれば高いんじゃね?でも会社の部屋に泊まるから安いよ」

「セレブ気分です!!」

「ホテルに隣接してるホールもよくショーで使ったりしてるから」

「あぁ、それで!!」



今日は仕事のことなんか忘れて姫と1日イチャつくって決めたんだ。



手を繋いで、ライアンの愚痴を漏らしたり。



開店まで時間があるし。



「蘭ちゃんと王子君って休みの日は遊ばないんですね」

「さすがに瑞紀に妬かれるし。姫はイヤじゃねぇ?俺と蘭子がふたりになんの」

「イヤです…」



そして気づいた。



俺達、完璧に笑われてるっ!!



こりゃ、絶対名前だ。



『姫』『王子君』なんて…。



前に並んでるヤツもクスクス笑うし…。



イラッとして来たっス。



「悪いけど、本名なんで」

「えっ!?あっ…すごっ…」

「わかってもらえたらいいっスけど…」



と、つい前のおねーさんに言ってしまった…。



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