王子と姫が出会いました。
なにも言ってないのに…。



「姫から九条の香水の匂いがした…」



ソファーに座ってこっちを見ない王子君はテレビをつけるわけでもなく、ただ真っ暗な画面に目をやっていた。



怖い。



これから先がとても怖い…。



「抱きしめられて…一目惚れだって…ごめんなさいして逃げてきた…」

「そう…」

「でもあたしは王子君が好き!!だから…だから…別れるとか言っちゃヤダ…。絶対ヤダから…あたし頑張るから!!王子君のそばに…いたいです…」

「ごめん…。来て?」



振り向いた王子君は悲しそうに笑った…。



それは…どっちの意味?



恐る恐る近づくと、グイッと腕を引っ張られて苦しいくらいに抱きしめられた。



「ストレス溜まりすぎてた…。ごめん、姫…。今もまだイライラする…」

「王子君…」

「九条なんかと話すなよ…。九条なんかに笑いかけなくていいから…。姫が俺の目にだけ映ればいいのに…」



その後も何度も謝られた…。



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