王子と姫が出会いました。
あたし、この人嫌いです。



「さっきのって会社のモデルさんですよね?」

「あぁ~…うん、顔だけで仕事できねぇから困ってんだよね~」

「そうなんですか」

「本社からの客だからとか言って甘くしねぇけど。俺、キライなんだよね、あういうナヨナヨしたヤツ」



な~んにも知らないでイジメられてるのですか…。



テレビにまで出たのに…。



それに王子君が仕事できないわけない。



可哀相な人です。



「タイプなの?アイツみたいなの」

「タイプっていうか、あたしが彼女なので」

「へっ…?」

「それにあの人、ナヨナヨしてませんから。せいぜい痛い目見てください。コーヒー、ごちそうさまでした」

「ちょっ…」

「ちなみにあたしが好きなのはカフェモカです」



それだけ言って走って逃げた。



男の人に立ち向かうのはかなり怖かったですっ…。



気づけば震えてる指先…。



王子君、あたしは余計なことをしてしまったんでしょうか…。



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