王子と姫が出会いました。
背はあたしよりもずっと高くて、細い体はモデルみたい。



整った顔はあたしと違って大人っぽくてキレイ。



緩く巻かれた髪も、キツすぎないメイクも、爪の先までキラキラオーラで満たされてるような人だ…。



静香さんみたい下品じゃない感じがします…。



「あたしはいくら遊んでくれても構わないから。最終的に収まるとこに収まってくれたら」

「だからいつの話ししてんだって!!」

「両親が王子に会いたがってた。じゃ、コレあたしの携帯ね」



そう言って携帯の番号をテーブルに置いた。



負けた気がする…。



敵とも認識されてない…。



悔しくて、悔しくて。



「オイ、何やってんだよ姫!!」



携帯の番号が書かれた紙グシャッと丸めて口の中に放り込んだ。



許婚さんが唖然としてて、王子君が慌ててる…。



ハッと我に返り、口の中の紙をどうしようか考えた…。



さすがに飲み込めませんっ…。



涙が込み上げて来て、吐き出すわけにもいかずにただモグモグ…。



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