王子と姫が出会いました。
連れて来た部屋で姫からグレープフルーツジュースをもらった…。



姫のファーストキスはグレープフルーツだって言ってたっけ…。



相当寒かったのか、手と耳が赤くなってる…。



「待たなくていいから」

「そうしなきゃ王子君に触れません…」

「メールでも入れりゃあいいだろ」

「次からはそうします…」

「脱げば?」

「あっ…」



部屋の電気はつけっぱなし。



震える手がボタンを外してって…。



そんなことさせたいわけじゃないのに…。



離れたくて冷たくしてもお前は従うから…。



いっそヤダって言って出てってくれた方が楽になる…。



「王子君…痛いの…イヤです…」

「そんなこと言えた義理?好きじゃねぇんだから労る必要なんかどこにあんの?」

「そう…ですね…」

「イヤなら帰れ」

「イヤじゃない。脱ぐ」



やめろ…。



やめてくれ…。



寒いだろ?



温めてやりたくなる…。



その小さい手を握ってやりたい…。



< 606 / 701 >

この作品をシェア

pagetop