王子と姫が出会いました。
コウ先輩の狭いアパートでふたりで過ごす時間が増えた。



キスもエッチもした。



どっちもなにも感じないんです…。



ただ泣きそうになってしまうんです…。



あたしの気持ちをわかってるコウ先輩はとにかく優しい。



王子君みたいにあたしの悪いとこを怒ってくれたりもしない。



ただカワイがられて、近くに置いとかれる。



こんなの間違ってるのに…。



だけど寂しくてコウ先輩の手を握る。



あたしは本当に最低だ。



「先輩、ギュッてしてください…」

「また泣きたくなった?」

「ごめんなさいっ…」

「謝んなよ、よしよし」



この人はどれだけ広い心を持ってるんだろう…。



こうしてなにも言わずに泣かせてくれる…。



王子君を忘れられたらいいのにっ…。



コウ先輩を好きになれば幸せかもしれないのに…。



あたしの中にインプットされた王子君の感覚を探してしまう…。



あの甘さ、あの優しさ…。



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