王子と姫が出会いました。
なんでそんな顔してるの?



どうして泣きそうなの?



延びてきた手が髪を撫でて…。



体に電流が走ったみたいに痺れる…。



「王子…君…?」

「どうしたらいい?」

「なにを…?」

「姫以外の女がみんな同じに見える。忘れてぇのに…耐えらんなくて…今触らなきゃ死ぬ気がした…」



こんなに弱った王子君は初めて見た…。



それってまだあたしを…思ってくれてるの?



「平岡と付き合ってんだってな…」

「あっ…」

「浮気しよう、俺と…」



そう言ってあたしの長い髪にキスをした…。



思うままに王子君に手を延ばすと、そのまま覆いかぶさるようにキス…。



久しぶりの感覚に涙が溢れて止まらない…。



先輩としてもなにも感じなかったキスが…。



王子君で満たされる…。



唇を割って入って来る舌も…。



そのあとに癖みたいに首を甘噛みする感覚も…。



この体温とか…。



あたしが求めてたものだ…。



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