アネモネ*~風、君を愛す~
「ヨシやママやお父さんと、
ゆっくり話してそれから進路は考えるよ」
「まだまだ時間有るしね、
紗那!」
「ヨシがアタシを嫌いになることがあるかも知れないし、
先のことなんてわからないしさ」
「何言ってんの?
ヨシ君が離れるわけないし!
紗那のこと、溺愛してんじゃん」
「そうそう、
あれだけ甘やかされてるのにね」
玲の言葉に恥ずかしくなる。
溺愛と言うかなんというか、
過保護にされてるのは確かに事実で…
「テストも今日で終わりだし、
夏休みを待つだけ。くよくよするな」
そんな夢物語を話した翌日、
1桁の赤い数字が書かれた、
無残なテストが返ってきた。
3者面談では母に散々怒られ、
終業式の日には見事にアヒルが並んだ通知表を受け取った。
季節は初夏から本格的な夏を迎え、
夏休みへと突入した。