アネモネ*~風、君を愛す~
ヨシが天へと旅立った。
「8月11日」
この日がアタシの心から消える事は、
一生ないだろう。
ヨシと暮らした家を離れ、
アタシは実家へと戻ることにした。
「おばちゃんごめんね。
1人ぼっちにして」
「ここに居たら紗那ちゃんだって辛いよね。
いつでも遊びに来て、
おばちゃんずっと待ってるから」
「…おばちゃん」
ヨシが居ないのに、
ヨシの匂いがするこの部屋は、
アタシには苦しいだけだった。