アネモネ*~風、君を愛す~


「明日また来ます」


「遠いのにごめんなさいね。
本当にごめんなさい」


「紗那に会えるまで、
何度でも来ますから」


ドアの向こうから、

母たちが話す声が聞こえる。

皆に心配されることも、

アタシを哀れんで見る皆の目も、

この時のアタシには苦しみでしかなかった。


「1人になりたい」


~8月20日~


皆が寝静まった夜。

アタシは、

{探さないで}とだけ一言メモを残し、

家を飛び出した。


< 255 / 507 >

この作品をシェア

pagetop