アネモネ*~風、君を愛す~
新しい家からは、
歩いて軽く1時間はかかる公園。
靴擦れの出来た足を引き摺りながら、
アタシはやっとの思いで公園の入り口に立っていた。
薄暗い公園から、
楽しそうな話し声が聞えて来る。
アタシは話し声のする方に、
そっと近付いた。
「あの…」
「誰ー?」
1人の男の子がアタシに気付いてくれた。
「あの…、
真紀ちゃんって居る?」
「真紀?居るよー。
滑り台んとこ」
「ありがとう」
真紀ちゃんが居てくれたことにアタシは安心し、
大きく息を吐き出した。