アネモネ*~風、君を愛す~
次の日の夜、
これが最後と決めて、
アタシはネオン街へと向った。
酔っ払いのサラリーマン、
甘ったるい声で客を送るホステス、
ホストクラブのキャッチ。
「アタシ、何してるんだろ。
バカみたい」
疲れきったアタシは、
あるビルの1階にある、
花壇の横に座り込んだ。
{このままヨシの元へ行きたい}
膝を抱えて座っているアタシの前に、
黒い影がスっと出来た。
「おい、腹減ってねーか?
おーい」
「……」
「寝てんの?」
黒い影が小さくなる。
そっと顔を上げると、
アタシの目に前に、
眉間に皺を寄せた男が座っていた。
この男との出会いが、
アタシの人生を大きく変えるなんて、
この時は夢にも思わなかった。