アネモネ*~風、君を愛す~


「アツ、
一緒に来てくれないかな?
ダメだよね」


沈黙が続く。

アタシは、

たった今口に出した言葉を、

すぐに消してしまいたかった。

知り合ってまだ日が浅いのに、

何を言ってるんだろう…。

アタシって本当バカだ。

何も考えずに、

アツの気持ちも考えずに自分の想いだけが先走って…

アツにこんな気持ち重いだけだよね。


「な、紗那?」


黙り込んで、

難しい顔をしていたアツが、

優しい声でアタシを呼んだ。


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