アネモネ*~風、君を愛す~


「良かった。
生きていてくれて」


そう言った父の声はとても震えていた。


「心配かけて、
ごめんなさい」


「もういい。
紗那が元気でいてくれたら、それでいい」


父が初めて{紗那}って呼んでくれた。

アタシは{紗那}って呼んでくれることを、

ずっと待っていたのかも知れない。

この瞬間、

父と本当の親子になれた気がしたんだ。


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