アネモネ*~風、君を愛す~
毎日、
何も変わらない平日の朝。
朝食は決まって、トーストと目玉焼きとオレンジジュースがテーブルに並んでいる。
これは、
アタシが小さな頃からずっと変わらない。
特に会話をすることもなく、
淡々とそれらを口に入れていくだけ。
朝食を終えて部屋に戻り身支度を済ませると、時計の針は午前8時を示していた。
「ママ、行って来ます」
「今日は早く帰って来なさいね、
紗那と沙良に会わせたい人がいるから」
靴を履くアタシの後ろで母がそんなことを言う。
父と母は、
アタシと妹が小さい頃に離婚している。
クラブのママをする母には、ある企業の社長だと言うお付き合いしている男性がいた。
直接聞いたわけではないけれど、子供ながらに何となく気付いていた。
「アタシは会いたくない。
沙良はどう思ってるか知らないけど…」
母を睨み付け、
アタシはそう言い残して学校へと向かった。